Aichi Brand
Innovation Awards
2022
愛知ブランド
イノベーションアワード 2022
愛知ブランド企業のチャレンジ機会の創出や技術力の向上、
新たな価値の発見を目的として、
愛知ブランド企業が行う先進的な取組を表彰する
「愛知ブランドイノベーションアワード2022」を実施いたしました。
大村 秀章
「愛知ブランドイノベーションアワード」は、愛知ブランド企業が行う「新分野進出」「DX推進」「外部連携」に関する先進的な取組を表彰するものです。
初回の開催となる2022年度は、BtoCへの参入を目指した新商品開発の取組や、自動車部品から建設資材へと異業種にチャレンジする取組など、様々な取組の応募がありました。
昨今、日本の製造業はコロナ禍の影響を受けるとともに、原材料高やカーボンニュートラルへの対応など、厳しい環境変化に直面しています。そのような中で、チャレンジを続け、新規事業を展開された愛知ブランド企業の皆様の取組は、大変素晴らしいと感じます。
受賞された取組が呼び水となり、愛知ブランド企業から起こるうねりが県内製造業を活気づけ、愛知県が世界をリードするモノづくりの集積地となっていくことを期待しています。
愛知県知事
大村 秀章
株式会社コーワ
究極の家庭用
「ほうき」による
BtoCビジネスへの
挑戦と新たな販路拡大
Innovation Awards 2022
なぜ今さら『ほうき』なのか
掃除は最も身近な家事であるからこそ、いかに「楽に」「効率的に・効果的に」できるかが追及され、掃除道具の高性能化や軽量化は進んできました。そんな中掃除の原点ともいえる『ほうき』の姿形は古くから変わっていないことに気づきました。環境負荷を減らすことが求められる現代において「電力を消費しない」「シートを捨てない」掃除道具である『ほうき』、掃除機と比べ圧倒的に軽い『ほうき』は大きな可能性を秘めていると思い開発に乗り出しました。
ONE STROKE「ひと掃き」で完結。
5層構造のブラシとブレードでフローリングの溝の微細なゴミまでキャッチ。この性能から商品名はひと掃きを意味する『ONE STROKE』(ワンストローク)になりました。
掃除機と比較してもまったく引けをとらない掃除性能を誇ります。また掃除機のように音を気にする必要がないため、夜遅くに掃除する方でもペットを飼われている方でも気兼ねなく使うことができます。
株式会社コーワは創業以来80年以上BtoB中心に自動車産業向けのブラシや、掃除機・エアコンなどの家電製品向けのブラシを開発・製造してきた総合ブラシメーカーです。中でも、掃除機の回転ブラシは50年以上国内家電メーカーと共に作りつづけてきた歴史をもち、その床掃除のノウハウがONE STROKEに活かされています。
ONE STROKEの販売方法としてクラウドファンディングを利用しました。このプラットフォーム内で清掃道具としては異例の4,300万円もの支援金額を集め、これにより多くのメディアに製品をとり上げていただきました。メディア露出が増えたことにより企業としての認知度も上がり、今までお取引のなかった企業様からのお問い合わせも増えました。
当社の使命は「探究心で世の中の役に立つ」ことです。
「探求」ではなく「探究」としたのは、物事をただ探し求めるだけではなく、物事の真の姿やあり方を深く探り、真に価値のあるものを提供していきたいという思いからです。
今後も、たゆまぬ「探究心」で社会課題を捉え、ブラシをコアとした弊社のクリーン技術によって、より良い未来づくりに貢献してまいります。
株式会社コーワ
 代表取締役社長 服部直希
KTX株式会社
「じゃない方事業部」による
電気鋳造金型の
解析技術から生まれた
止水板の開発・事業拡大
Innovation Awards 2022
防災対策として浸水を防止する「止水板」を自動車の内装金型事業で培った世界屈指の技術とノウハウで開発。
高性能ながらも使いやすさを追求し、低価格×短納期を実現した「スーパー止水番2®」事業は成長し続けている。
高度な解析技術により必要十分な強度ながらも、シンプルな構造と少ない部材での構成による低価格化を実現。
弊社は自動車の金型事業でオンリーワンの技術を持っております。細部にこだわるモノづくりの力を通じて社会貢献したいと考え、昨今頻発している大雨による浸水への対策となる「スーパー止水番2®」を開発しました。
今後も積極的に製品開発に取り組んでまいります。
KTX株式会社
 代表取締役社長 野田 太一
株式会社エムエス製作所
医工連携による
医療従事者の
安心・安全を目的とした
放射線防護板の商品化
Innovation Awards 2022
医療の技術は進歩します。
技術に合わせ、環境も進歩しなくてはいけません。
構造的心疾患治療において、カテーテル手術の普及が進んでいます。しかしながら、手技に携わる心エコー医、麻酔科医の放射線被ばくが懸念されてきました。
医療とモノづくりが手を携え、放射線の遮断と円滑な作業を両立させる防護板を開発。
世界的にも新しい発想を形にした製品です。

被ばく対策と作業を両立する新機構
4通りの高さ変更と鉛の板への差し替えが可能

医療現場では、自己犠牲を顧みず治療にあたる医師もいます。しかしながら、患者さんの命を守る医師が、自分自身を危険にさらしてしまってはいけない。とくに未来を担う若い医療者たちには、安心して新たな技術で患者さんの治療に専念して欲しい。
そんな思いから「FORUshield」を開発しました。
株式会社エムエス製作所
 代表取締役社長 迫田邦裕
株式会社金トビ志賀
愛知県産小麦「きぬあかり」
を使用した機能性表示食品の
乾麺開発による販路拡大
Innovation Awards 2022
創業時より小麦粉の自社製粉に拘った伝統的な乾めんを製造している強みとコア技術を活かし、愛知県産小麦粉「きぬあかり」を使用した健康志向の乾めんをテーマに開発を進める中で、平成27年に制定された機能性表示食品に着目しました。333名の方にWEBアンケートを実施し、血糖値上昇の抑制及び、血中中性脂肪の抑制に関心が高いことが判明。外部連携した㈱林原様と溶出率の研究や検査を重ね、革新的な2つの生産技術を採用することで課題解決し、令和2年に消費者庁に機能性表示食品として届出を致しました。その後、今までお取引がなかった新たな販路開拓につながり、健康食品商社、保険薬局・ドラックストア、健康食品のネット販売と、今後も成長を期待される市場へのお取引きを頂けるようになりました。
ニーダーミキサーの生地
(伝統製法)

400㎏ニーダーミキサー

ニーダーミキサーの生地

ピンミキサーの生地
(開発製法)

100㎏ピンミキサー

ピンミキサーの生地

有効成分の「イソマルトデキストリン」が水溶性のため、茹でて調理する時に有効成分が茹で湯に溶け出てしまうという課題があり、有効成分を増量したことに伴う「つながるチカラ」の低下を抑えるために2つの新たな生産工程を採用しました。1つは、混捏ミキサーの羽根を400㎏練りのニーダーミキサーから、100㎏練りのピンミキサーに変更し、小さい生地の塊を沢山作ることで均一に有効成分の生地を水和することを可能に。2つ目は、生地強化を目的に2段階ミキシングを行い、有効成分濃度が高い生地と、濃度の低い生地を別々に混捏し最後に合わせることでグルテンネットワークの網状を構築しながら安定製造を可能にしました。
金トビ志賀は、大正6年に蒲郡市で小麦粉製粉をはじめ、その後自社製粉した小麦粉で乾めんや生めん、半生めんの製造販売を行ってきました。今年で創業104年目になり、伝統的な製法で地粉にこだわった乾麺、特にきしめんを全国、一部海外にも発信しています。小さくて典型的なローカル小型製粉と、自社製粉に拘っためん作りをしている会社です。
この度の取り組みでは、機能性表示食品の乾めんが消費者の健康面での手助けになることのみならず、地域の農業振興への貢献も願って開発を進めました。当初、愛知県産小麦粉「きぬあかり」を使った機能性表示食品という点で、コスト・加工の両面で課題がありました。しかし、外部連携により知見を増やし、添加物の選定、生産技術の開発を行い、トータルとして革新的な生産工程を構築。より高い目標の『おいしく食べて健康になる乾麺』を誕生させることが出来ました。今後もこの商品の可能性を広げていきたいと思います。
株式会社金トビ志賀
 代表取締役社長 志賀重介
表彰式
愛知ブランド
イノベーションアワード
表彰式
2023年2月21日(火)、愛知県庁本庁舎の正庁において、愛知県知事・愛知県経済産業局長から最優秀賞、優秀賞、特別賞の4社に賞状と副賞のトロフィーが授与されました。
表彰式では、4企業から受賞内容のプレゼンテーションが行われました。
(右の動画を再生いただくとプレゼンテーションが視聴できます。)
選定委員会委員長の総評
今回のアワードでは「新分野進出」を目指した取組の応募が多くありました。
また、コロナ禍やCASEやMaaSにより、技術やビジネスモデルが変化しつつある時代背景を受け、BtoCにチャレンジする取組も多くありました。
BtoBからBtoCへの参入はとても難しい挑戦です。従来のプロダクトアウトの発想からマーケットインの発想にどれだけ柔軟に切り替えて取組んでいるかが評価のポイントのひとつとなりました。
また、コアコンピタンスがどう活かされているか、ソリューションが顧客や社会的なニーズにどう応えているかについても、議論し、評価を行いました。
受賞された取組は、これらの点について、特に優れていると評価された取組です。
受賞された企業を始め愛知ブランド企業は、どの企業も素晴らしいコアコンピタンスを持っています。今後も、このような優れた企業同士が新たな連携を行い、更なるイノベーションを創出していくことを期待しています。

選定委員会 委員長 上岡和弘
(大同大学 情報学部 教授)
トロフィー作成企業の紹介
チヨダ工業株式会社
愛知県愛知郡東郷町において、金型の設計製作及び試作品製造を主業務としています。自動車関連の仕事を中心に、近年主流になりつつある超高張力鋼板向けの金型制作に黎明期より取り組んでおり、高い評価を頂いています。海外展開についても、アメリカ、ベトナム、タイにも拠点を持っており、グローバルなモノづくりに取り組んでいます。新技術については、2012年より国立研究開発法人産業技術総合研究所と「木質流動成形」について共同研究をしており、現在、NEDO新技術先導研究プログラム「木質CCUSを加速する資源循環システムの開発」に参加しています。
トロフィーは、間伐材から作られたチップ材に前処理を行い、熱間にてプレスすることで作成されています。この技術は「木質流動成形」と呼ばれ産業技術総合研究所との共同研究にて、実用化を進めています。

素材とトロフィー

使用した金型

素材革命として、木材がプラスチックや金属の代替え素材となることを知って頂きたい。
木材を粘土のように自在に変形する新工法「木質流動成形」により、間伐材や林地残材の活用によりアップサイクルを実現し、CO2の塊である木材を末永く使う事でCO2の固定化を目指します。弊社は今後も「木質流動成形」の研究開発・実用化を進めることで持続可能な社会の実現を目指します。
チヨダ工業株式会社
 代表取締役社長 早瀬一明
Aichi Brand
Innovation Awards 2022
ABOUT
1
賞の名称
愛知ブランドイノベーションアワード 2022
(Aichi Brand Innovation Awards 2022)
2
応募者の要件
応募時において愛知ブランド企業の認定を受けている企業
3
対象となる取組
新分野進出、DX推進、外部連携のいずれかに該当する先進的な取組
応募年度の始期から遡って3年間のうちに、市場や提携企業等の外部に対して、新たに製品やサービスの提供を行った取組
4
応募期間
2022年10月6日(木)から12月23日(金)まで
5
審査項目
新規性・独自性、ソリューションの有効性、実効性・将来性
6
2022年度受賞企業
最優秀賞
究極の家庭用「ほうき」によるBtoCビジネスへの挑戦と新たな販路拡大
株式会社コーワ
優秀賞
「じゃない方事業部」による電気鋳造金型の解析技術から生まれた止水板の開発・事業拡大
KTX 株式会社
特別賞
医工連携による医療従事者の安心・安全を目的とした放射線防護板の商品化
株式会社エムエス製作所
特別賞
愛知県産小麦「きぬあかり」を使用した機能性表示食品の乾麺開発による販路拡大
株式会社金トビ志賀
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